無極站樁功の要領①(動作)

馮志強老師の本は次の言葉から書き出されています。

 『練拳須従無極始』

   太極拳を始めるにあたっては、まず「無極」から開始しなければならない。

 

「太極」は「無極」から生まれます。「無極」がなければ「太極」はありません。

站樁功は立った止まった状態で行う功法すべてを指しますが、通常私たちが練習しているのは、どこにも極をもたせない状態で立つ「無極站樁功」です。無極站樁功は「無」の状態に自分を持っていくことによって「太極」を生まれさせる功法です。

 

具体的には、静かに立ち、心も身体も力を抜いて、空っぽの「無」の状態に入っていきます。静かに立ち続け我を忘れるようになり「静」が極まると、そこから自然に、何か動きを持った「兆し」のようなものが下っ腹の奥に現われてきます。この現象を「太極が生まれる」といい、これがその後の全ての動きの「種」になります。

それは宇宙の成り立ちにも似ているかのようで、何もないところから何か生命のようなものが生まれてくるかのような・・・そんな感覚です。

そして「太極」分かれて「陰陽」となり「開合」となり「動静」となり、すべての動きが作り出されてきます。

 

無極站樁功においては、まず、「放松(ファンソン)」(力を抜くこと)が必須となります。全身の余分な力が抜けるところで、気が本来あるべき場所に戻っていきます。無理に意念で気を集めるのではなく、余分な力を抜いて抜いて抜ききることで、身体が自然の状態に戻るのを待ちます。

 

その手順は一般的には以下のようになります。

 

1.まず自然に立ちます。足は肩幅に開き、足先は前方に向けます。

 

2.放松(ファンソン)(力を抜く)

心から始めます。心で「放松」を思い、全身を「放松」させます。

 

2.虚領頂勁

真っ直ぐ立ち、頭のてっぺんが少し上に引っ張られているような感覚を保ちながら、膝と股関節を緩めます(緩める=少し曲げる)。

 

3.松肩

両肩を沈めます。具体的には、「肩井(けんせい)」のツボを下に引っ張るようにします。

 

4.含胸

胸を少し後ろに引きます。背中の方に向けて少し押す感じ。肩甲骨が開き背中が広くなります。あまり強く引きすぎないこと。胸の空気が腹の方に落ち、「胸がすいた」ように感じられればOKです。これが腹式呼吸への最も大切な要領になります。

 

5.塌腰(ターヤオ)、斂臀(リエントゥン)

腰が下に垂れ下がったように引っ張られ(塌腰、腰の椎骨節や皮膚、腱が真下に向けて伸ばされた状態。この時おしりは少し前方に巻き込んだようになります(斂臀)。所謂「でっちり」の反対です。

こうすることで「命門」のツボ(腰椎2番の下、臍の真裏あたり)が開き、背骨のカーブが自然に伸ばされて一直線になり、尾骶骨まで使えるようになります。

 

6.松胯(ソンクワ)、屈膝

胯は股関節のこと。股関節を緩めます。緩めるとは少し折り曲げることです。その時、膝に向かって真っすぐ折り曲げるのではなく、股関節の斜め上がりのラインに沿って(パンツの股のラインを思い浮かべてください)、折り曲げるのがコツ。そうすると自然に少し外向きに折れ曲がるはずです。股関節を緩めると膝も自然に曲がります。

股関節をピンと伸ばして緊張させると、脚に気が巡らず自由自在に動きません。また、股関節が十分に開かないと膝関節に負担をかけることになります。

 

7.最後に、足のかかとに意識を持って来て、かかとに身体の重心がかかるように調整します。こうすることで、足から頭までが一直線になります。併せて、両腕も力を抜き、肩から垂れ下がったようにします。全身から力が抜けて伸びた感じになります。

 

以上が無極站樁功の姿勢面(形)の要領です。

次回は意念の要領を書きます。

 

 

上の文章中にあった、「肩井」や「命門」のツボを探せますか?

 

 

上の文章中にあった、「肩井」や「命門」のツボを探せますか?

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『今日のメモ』毎日の練習は気づきの宝庫。太極拳の練習の成果が何に及ぶかは予測不可能。2012年9月〜のアーカイブは『練習メモアーカイブ』へ

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練習のバイブル本

 『陳式太極拳入門』

   馮志強老師著

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2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

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