『黄帝内経(こうていないけい)』は中国最古の医学書で、中医学の原点です。太極拳も養生の方面についてはこの本を経典としています。
『黄帝内経』の内容は深く、多岐にわたりますが、ここでは四季の養生法のうち、夏の養生法について簡単にまとめておきます。
1.夏の特徴
夏は24節季で「立夏」から「大暑」までを指す。陽気が最盛の時期で、植物も生茂る。人体も同様に新陳代謝が旺盛な時期で、皮膚の汗腺が開き汗を出すことにより体温の調節をする。
2.夏の養生の大原則
①暑さを防ぐ、②暑いからと言って涼しさを求めすぎない、③湿度を防ぐ
3.情緒
疲れやすい。倦怠感。イライラして怒りやすい。
→心を涼しく保つよう調整する。急がない。
4.飲食
他の季節以上に注意が必要。
湿気により胃と脾臓の気が損なわれ、消化能力が減退する。
高温になると消化液の分泌も減少する。
→胃に負担をかけない飲食が大事
①脂っこい食べ物を避け、さっぱりしたものを食べる。
②少し温かいものを食べ、あまり冷たいものを食べない。
③一回の食事の量を少なくし、その分回数を増やすのも可。
5.睡眠
陽気の長さに応じて「少し遅く寝て、少し早く起きる」。
睡眠時間に不足を感じる場合は、午後昼寝をする。
6.運動
自然の中で緑や水のある場所で、涼みながら運動するのが最適。
7.冬の病気は夏に治す。
冬の病気は陽気が少なく陰気過多が原因になることが多い。冬に風邪をひいたり病気にかかりやすい人は、夏の間に陽気を取り入れ養っておく。(養生法:食、休息、運動)
以上。