2013/1/25 <放松のために真っ直ぐ立つ>

2013/1/25 <站樁功の要領 ①放松のために真っ直ぐ立つ>

 

站樁功について整理する、と宣言しながら、この二日間生徒さんを指導しながらまたまた悩む。

正しい立ち姿にしようと、站樁功の間中ずっと、”ああでもない、こうでもない”、と考える真面目な生徒さんの姿を見ると、形を追求し過ぎると心のリラックスができず、結局身体も緩まない、適当にやるやのも大事だなぁ、と、『有意無意是真意』(意識は有るよう無いようなところが本当の意識)の大事さを痛感する。

実は”正しい”立ち姿は相当の練習を積んでやっと得られるものだから、最初から全てを要求できるものではない。慌てず急がず『静心慢練』 (心を鎮めてゆっくり練習する)あるのみ。

 

このメモを使って私自身、站樁功のイロハに戻ってみる。

 

その①

站樁功で最も大事なのは、心身の放松。言い換えれば、心身の余分な力を抜いて自然な状態に戻すこと。心も身体も”自然”でいることが最良の状態。もっとも、これにはかなりの努力がいる。

 

そして放松(力を抜くこと)のための最も基本的な条件、それが「真っ直ぐ立つこと」。

曲がって立っているとそれだけで余分な力がかかってくる(身体のどこかに力をいれないと身体が支えられない)。

力学的に考えれば明確だが、筋肉への負担は最小限となるのは、身体の骨組みが地面に垂直に積み上がっている状態だ。そうなれば身体は放松し、その分、意識によって身体の平衡感覚がとれるようになってくる(”意識”についての説明は後に譲ります)。

 

ここで、人間の自然な立ち姿は背骨がS字のカーブを描いていることに注意。

真っ直ぐに立つ、とか、地面に垂直に立つ、と言った場合、このS字カーブが曲者になる。普通は命門の部分(腰椎3番あたり)が引っ込み過ぎているため、骨組み(背骨)を真っ直ぐに立てるには、命門を後ろに引き(お臍で命門を押すor腹筋で背骨を後ろに押す感じ)、身体全体の重心を後ろに移動させる必要がある。これは何も太極拳に限ったことでなく、バレエダンサー然り、全てのスポーツ選手の基本姿勢の要領になる。

 

 

頑張って図を描いたので以下それを使って説明に挑戦。

 

★站樁功の目的=心身の自然状態=放松 

            →真っ直ぐに立つ必要性(形の要求)

 

  ※真っ直ぐに立つための要領

      →背骨を真っ直ぐに立てる(体躯の要求)

        ①命門を出す<図1→図2> (腰が伸びる)

        ②股関節を緩める<図2→図3> (尾骨が地面に垂直に垂れる)

 

なお、命門のツボをちゃんと開けられるかどうか、これが站樁功の第1関門と言われています。命門を開けるために、練習を始めてしばらくの間は図②のような姿勢になり、却って姿勢が悪くなったのではないかと思ったりもしますが、あくまでもそれは経過時点。最初から股関節を緩めることも練習しておいて、命門が開いてきたら図③に進んでいきます。図①から一気に図③へと進むのは普通はまず無理です。まずは命門をちゃんと開けるのが大事。

命門を開けるには、最初はお臍を背中に貼りつけるような感じでやりますが、そのうち、腹に息を落として、腹圧で腰を後ろに押すようにしていきます。くしゃみをした時に腹に息が落ちてウエスト回りが太くなるような、そんな感覚です。これができるころには腹式呼吸がしっかりできているはず。

図③へ移行するにあたっては、その腹圧(腹に溜った気)をさらに尾骨の方へ落としていくようにします(・・・これは次の段階・・・)。

 

<注意点>

①赤色⇒の「命門を後ろに引く」ためには、緑色⇒の「含胸」(胸(正確には膻中のツボ)を少し引いて肋骨を収める)が必須になります。胸を張り出したままでは命門は出てきません。 (図①→図②)

②一方、命門を引くとお尻が巻き込まれたようになって鼠蹊部が真っ直ぐ(=緊張)になりがちです(図②)。命門を出そうとしてその下の仙骨・尾骨が内巻きになり過ぎない様、真ん中の図の青色⇒「松胯」(股関節を緩める、鼠蹊部を折り曲げた感じ)を心がける必要があります。(図②→図③)

 

つまり赤色「命門」と緑色「含胸」は同義。しかし、これらと青色「松胯」は矛盾します。

この二者間の矛盾の中から、その矛盾を解決、昇華するような絶妙な場所を見つけ出すことで身体の芯や力が生み出されます。実はここが醍醐味!

 

 

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『今日のメモ』毎日の練習は気づきの宝庫。太極拳の練習の成果が何に及ぶかは予測不可能。2012年9月〜のアーカイブは『練習メモアーカイブ』へ

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2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

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