2017/4/28 <体重移動、膝、足陽関と陽陵泉、関節の回転運動>
先週あたりから膝の使い方を、48式の中の擦脚に含まれる歇步(xie bu)の実践用法を使って説明してきた。
ちなみに、歇步の『歇』は一休みするという意味。一休みする歩法だが、一休みにならない人も多いのは事実・・・。
さて、この歇步の用法には、相手の両脚の間に自分の膝を割り込ませて体重をかけていき、相手の膝なり脚を崩すものがある。太極拳の面白さは実はこのような足技にあり、腕で何かをやっているようで下の足がしっかり挟み込んでたり、引っ掛けていたり、ぶつかって行っていったり、と隠れてエグイ動きをしていることが多い。太極拳は下盤(下半身)重視の拳法とも言えるが、それは蹴りや跳びに限られない、一見目立たない独特な下半身、足の技が隠れていることに気づくとまた面白さが倍増する。
練習では、この膝崩しを二人組でやってみた。
やってみさせると、膝で推そうとしてうまくいかないケースがとても多い。
膝で相手の脚(膝)を押していくと、相手もその動きに合わせて膝を回せば簡単によけることができてしまう。腰をそのまま足に乗せていくように、”ただの”体重移動をしなければならない。
結局は”ただの体重移動”がそのまま技になってしまうのだが、どうしても、「膝を当てにいこう」と思ってしまうので、膝が最初に曲がって出てしまう。何度も、「腰から動いて!」と言ってもやはり膝から動いてしまう→接触している箇所に意識をもっていかない、というのが太極拳の鉄則。捕まれても、当たっても、意識は常に丹田(腹、腰)。相手の身体と接触している部分は無視して、ただ、自分の仕事=丹田回し、をする。すると、なぜか(その気はないのに)技がかかってしまうから面白い。
これは注射をされる時に意識を別のところにずらすのに似ている。
要は意をずらす、意をコントロールする練習を兼ねている。
体重移動は腰を足(足首)の真上に乗せることで完成する。
右膝が右足(首)の上に乗っても、まだ左足を地面から離すことはできない。片足立ちができる準備ができたところが体重移動が完成したところだ。
そのためには、腰が足(首)の上に乗ってあげなければならず、上の技も、腰が誰かに後ろから押されたようにさっと前に動くことでスムーズに体重移動ができる。丹田がしっかりしていないと、腰が取り残されてしまうので要注意。
ここまで説明してもまだ、腰が乗ったのか膝が乗ったのか、自分では良く分からないという生徒さんもいた。
その後、馮志強老師のテキストや演武を見て膝の使い方の一つの要領を思い出した。
膝をはさんで上下にあるツボ、足(膝)陽関と陽陵泉の二つのツボを意識して動くこと。
この二つのツボはまさに上の膝崩しの技をかける時に使うツボ。どちらかのツボで相手に当たっていくのが普通で、膝小僧で当たっていくことは絶対にしない。
重心移動の時もこれらのツボが先に当たっていくように動く。
場所がはっきりしなければ、練習の前に叩いて印をつけておく(身体に記憶させる)。
私自身、この二つのツボを意識して24式を練習したら、下半身のキレの良さが馮志強老師のよう?なんて思ってしまった。
生徒さんにやらせたら、基本姿勢がさらに後ろ重心になってかなりきつそうでしたが。
膝から動けば必ず会陰は下がり、丹田は形成されないし、上半身と下半身は分断される。
足陽関穴や陽陵泉穴を外さず動けば会陰は上がったままで脚と腰がよく連結し、全身が一つにまとまる。
このブログの左隣のテキストの表紙の馮志強老師のポーズも、これらのツボでしっかり立っている。
膝を守るためにも、膝小僧を使わない練習が大事。
ここまで書いて気づきましたが、膝小僧を使わず、その上下のツボで動くには、腰も股関節も膝も足首も、回転!させなければできません。膝の曲げ伸ばし、なんてしていたら、膝小僧しか使えず、関節が磨耗してしまいます。関節の回転運動、これが纏糸勁の基本(ただぐにゃぐにゃしているのではない)。関節は回転して使えば潤滑液も出てきて関節も喜びます。
膝の裏の筋の開合の話も練習で出ましたが、またそれは別の機会に。
2017/4/22 <足裏まで気を落とす 湧泉穴から吸い上げる>
練習の度に新たな気づきがあるが、それをすぐに表現できるLINEは私にとって頭の負担を減らしてくれる便利なツール。LINEで一度吐き出すように書いてしまうと、改めてそれをブログに書く気を完全に失ってしまう。が、グループLINEに参加していない生徒さんや、私の母親のように、このブログを見て私の無事を確かめている人もいる。時にはパソコンに向かって書かなければならないなぁ、と思う。
LINEへの自分の書き込みを遡って見ていけば、この数週間、何を気づき何を学んだかがわかるだろう。それをブログにまとめるのも面白いかも。
とりあえず、今週のレッスンで何度か出てきた話題。
★丹田は下半身で作る
➀ある程度練習が進んだら、タントウ功で早めに足に気を落としてしまう。
②足(足首より下)まで気を降ろし、足裏が地面に貼りつき、地面をねじ込み(钻)
③地面から力が上がってきたらそれを足裏(湧泉)で掴んで丹田へ上げる。
この足裏が掴んで地の気を腹の丹田へ上げる力がなければ、丹田は開発できない。上半身だけでは無理。下丹田=精の溜まる場所は下半身にある。
腕のパンチ力の7割が脚(下半身)の力、3割が腕(上半身)の力、と言われるほど。
足裏から腰までを如何につなげるか、これが課題。
なお、➀の足裏まで気を落とすテクニックとしては、まず脚に力を入れて下半身に力を集結させ、そこから脚の力を抜くと良さそうだ。太腿の筋肉を固めるくらい力を入れると上半身の力が抜ける(少なくなる)のが分かるはず。そうしたら上半身の”虚”の感覚を失わないように、太ももの筋肉を緩めて、足裏に気が落ちていくのを味わうとよいと思う。
今週の子連れママのクラスで、3か月の赤ちゃんの足裏に湧泉穴がはっきり見えるのを発見。
思わず写真を撮りました。
邪気はここから出し、地気、清気はここから吸い上げる。