2018年9月

 

2018/9/30

 

 一昨日休憩に入ってそのまま放ってしまった練習メモ。

 2日も経つとその時の記憶があいまい・・・

 が、ラッキーなことに生徒さんからその日目から鱗だった点についてメールが来た。

 そう、”虚歩”。

 

 練習で24式をやった後にどこかしっくりしない所がないかと皆に尋ねたら、一人の生徒さんが、第15式三換掌の時に、左足が虚歩のためか左腰が入らない、と言った。そこでその動作をやらせてみたら、あら、虚歩が見せかけの虚歩、ただ踵を上げているだけになっている。この脚では左足裏から腰へと勁を上げられない。

 

 虚歩の原理、意味について説明してあげなければ・・・と、虚歩がいかに素晴らしいか、を具体的に説明した。できることなら、両足虚歩→つま先立ち=脚を最大限に使う動物の立ち方の基本、で24式をやらせたいくらい・・・。そうすれば脚が腰まで繋がっているのが用意に分かる。私達は踵から地面に足をつけてしまったがために、脚が股関節までで分断してしまう(日本人の場合は脚が股下止まりのこともしばしば)。バレエダンサーがトウで立つのは非常に合理的だが、それには会陰の引き上げでトウになれるようにちゃんと指導を受ける必要がある。会陰が引き上がり、それが下腹に届けば、下丹田と中丹田がつながり、その丹田に重心を置くことにより関節の可動域が広がる。(逆に会陰=下丹田の引き上げはなく、下半身の筋肉を硬直させてトウになった場合は身体が硬くなり関節が締まって故障しやすくなる。)

 

 

 

 練習では皆につま先立ちをやってもらったが、そのつま先立ちがただ足の甲の面だけで行われている場合は私が想定するところのつま先立ちとは言えない。足の裏の面において、指先から踵まで、そして踵をぐるっと回ってアキレス腱、脹脛、膝裏の筋、太もも裏・・・と勁が繋がって初めて正式なつま先立ち、そして虚歩が出来上がる。

 つま先立ちや虚歩になると、私達は4節足動物(*)になる。

 踵を降ろしている場合は2節足になってるのではないかしら?

 

 *4節足の私的意味

 第一節 足指つま先から足首

 第二節 足首から膝

 第三節 膝から股関節

 第四節 股関節から腰(帯脈位置)

 

  2節足だと 足首から膝、膝から股関節、これだけ。

  (自分の脚をどう意識するか、どのように意識できるのか。

 4節足として意識できるようにするためには、それらを内勁でつながなくてはならない。)

 

 

 脚は腰までつなぐ(4節足(?)になる)ことは太極拳の核心を形成する。

 ここを間違うと本当の丹田は形成できず、ゆる体操の高岡先生が言うところの”拘束丹田”(偽の丹田)しかできない。拘束丹田とは吐いて固めてできた丹田だが、これでは身体は硬直してなめらかな動きはできなくなる。一般的に日本の武道はこの拘束丹田を作るきらいがあるように見受けられるけど何故だろう?・・・丹田を”臍下丹田”といって臍下一点に固定させるためかしら・・・丹田はそんな”固い”ものではない。自由自在に伸縮可能。一粒から身体全体を包む、その場を包む・・・極小から極大まで。それが太極の”太”、大より大きく、小より小さい、の意。

 

  下はビヨンセのSingle Ladies 。”4節足”? 一昔前ハマって見ていました。

 当時はヒールで良くしゃがめるなぁ?と不思議に思っていたら、師父と一人の生徒さんから、ヒールだからこそしゃがめる、と指摘されて目から鱗。スニーカーだとこうはいかない。股関節や腰の可動域が全く違う。

 このくらいの体型だと4節足の意識が出やすいかなぁ・・・(苦笑)

2018/9/28  <練習後のLINE投稿用のメモ>
今日の御苑は清々しく気持ちの良く理想的なの練習場所。
遅れて到着したらまだ立ってる人と、もう内功を始めてる人がいました。
最初に目がついたのがHさんの立ち姿。腰が低い! と、一度踵を上げて腰を引き上げてから改めて踵を下すことを提案。
足の裏、ソールは分厚く膨らませておかないと腰(腎)に気が届かない→ぺちゃんこな足裏では太極拳はできない。
通常、土踏まずを上げろだの湧泉を引きあげろだの言うのは、足裏、いや足全体を盛り上げて高くするため。甲高にする....バレエで甲を出すためにかなりの努力するのと同じかもしれない。
練習の後半に虚歩についての質問があったが、虚歩もまさに足長腰高にするための要領。ただ踵を上げても虚歩の意味がない....のは、今日の生徒さん達には分かったかしら?
トウロによくある足の扣(コウ 足首から爪先を内旋)や 摆(バイ 足首から爪先を外旋)も、これによって全身の方向転換が可能になるわけだから、足(足首以下)は少なくとも腰(腎の場所)まで繋がっていなければならない。
足爪先から足裏、踵、アキレス腱を経由して膝裏、お尻(股関節 環跳穴) 、そして腎、ここまでが線で繋がるか否かが内家拳としての太極拳になるかならないかの鍵を握る。丹田なし、内勁なしの動きは外形的に太極拳に見えたとしても別物....
この辺りの要領は馮老師の内功の三丹吐納功の下丹田の吐納功をしっかりやると良さそうです。中丹田の吐納功もポイントは後丹田(命門)に持って行ってしばし腎で溜めておくこと。
この腎(腰)での溜め(固精....)がパンチ(打)、ジーに、蹴り、チャンスー、全ての元になる。
しかし、実は下丹田にはもれなく脚、足が付いてくる。足、足裏で地の気を引き上げることなしには下丹田は機能しない(立位の場合。坐禅の時には骨盤底筋が足裏の機能を果たす)
ここでしばらく休憩....
2018/9/28
  暫くブログを書くのをサボっていたら、読者(⁈)の方から催促(!)のメールを頂いてしまいました。
  ここ数日はソウルに行っていて思いの外忙しく、書く時間がなかったのですが、そもそも最近の練習のことは文書にし辛い。
  一層の事、10分足らずの録画にしてYouTubeで配信するのはどうかしら?なんて大胆な案も浮かんだが、そうなると顔やら喋り方やらが気になって、これじゃあ恥ずかしくて映せない....なんて、はぁ、本当に男性だったらその辺りのハードルが低かっただろうに....と羨ましく思ったり。
  チコちゃんみたいな被り物で太極拳教えたら楽しいだろうなぁ?なんて冗談で言ったら、既に被ってるじゃないですか? 、とか言う巫山戯た生徒さんもいたりして絶句。
  
  ビデオで教える、というのはこの先の目標にして、とりあえず書けることは書かねば、全て流れていってしまう。
 
   この2週間くらいは、馮志強老師の12の内功に焦点を当てた練習をしています。
   昔、まだ丹田やら何やら全く分からなかった頃にやった時はその良さが全く感じられなかったですが、今やると全く違う。感動モノです。これが太極拳の基礎になっているのがよく分かる。
   それが生徒さんに感じられるように、解説を加えて練習してもらうと、皆の反応は予想以上。が、妙に疲れるとの感想。
  私としては内功の謎解きをしているようで楽しい。
 
  また追い追い紹介します。
2018/9/11
 先週の結末....
カメに乗っていざ出発。
まさか竜宮城には着かないだろうなぁ、とは思っていたけれど....

2018/9/6

 

 カレンダーを見ながら・・・ 

 今月17日と24日は共に月曜祝日。

 初心に戻って初心者用の練習会をやっても良いかなぁ、と思い始めました。

 タントウ功と動功だけ、もしくは24式套路のみ、どちらかにしぼって午前中、新宿御苑か新宿内の会場で練習するのはどうだろう?

 タントウ功や動功は天気が良ければ御苑が最高。

 24式の型を覚える練習は鏡がある室内の方が効率的かなと思います。

 参加者が集まれば実施します。

 興味のある方はお問い合わせから連絡を下さい。

 希望の練習メニューを教えて頂ければできるだけ調整します。

 

2018/9/6

その後の展開.... 
10秒ごとにスライドします。
そして明日の結末は?

2018/9/4

 

 台風近づく中、今日は和室で少人数の練習。

 

 48式ゆっくりで身体を解した後、推手の形で前(鼠蹊部)と後ろ(お尻)から股関節を別々に意識し操作する練習をしてみた。

 前回パリで劉師父と推手をした時、「手の力(勁)は股関節から来るのだ」と何度も注意された。それまで腰から勁をつなぐものと思っていた私はとっさにそうはできなかったが、「馮志強老師も股関節と手がつながると書いているから確認しておきなさい。」と言われ課題を残したままになっていた。

 その後、練習の時にそのことを特に思い出すこともなく、生徒さんを教える以外は自分では家で坐禅をして気を溜めるくらいしか練習していなかったが、次第に腹に溜まる気が増えていて、いつのまにか腹の気が股関節に達するようになっていた。

 腹の気が股関節に達する、ということは、言い換えれば、股関節まで腹になるということ。

股関節のラインは脚の付け根、胴体と脚の境界。鼠蹊部、脚の付け根まで気が溜まると、その腹圧で骨盤底筋をぐっと押せば(跳び箱で跳ぶ時に手をぐっと跳び箱に推すような感じ?)骨盤がぐるっと前回りして立ち上がる。胴体が地面に対して垂直に立ち上がったようになる。(ここまでいけば坐禅の時に坐骨で坐れるので尾骨がフリーになる。すると尾骨裏の長強穴から気を吸い上げ頸椎まで通すことができるようになるので背骨を固めて上体を持ち上げ続ける必要がなくなり坐禅もそれまでより随分楽になる。180度開脚やそこから上体を前に倒して床に胸をつけるのもそれほど苦でなくなる。)

 少し話が逸れるが、股割りや180度開脚などはストレッチでむりやり筋を伸ばすのではなく、腹の内気を膨らませて内側から筋を伸ばし関節を開けていくのが健康的で意味があるというのが私の経験からの結論。即ち、タントウ功や坐禅をしていれば、次第に股関節は開いて使いやすくなる。逆に、もしタントウ功をやればやるほど脚が上がらなくなったり開かなくなったとしたらやり方が間違えているということ。

 

 下はタントウ功の流れ(左から右へ。何年かかるかは個人差あり。)

 

 

 まず臍下の気海から溜め始めた気が次第に多くなる(上の一番左とその横の図)。この段階の目標は中丹田を下丹田とつなげること。

 そして下丹田まで届けば、股関節を巻き込むので気が脚を伝わって足底に落ちる。ここで足に気が落ちた、足に力が出た、足が根付いた、という状態になる。(左から三番目の図)ここまでは濁気を下へ下げている段階。第一段階。尾骨は内側に収める(犬のうんちんぐスタイルの尻尾)。

 

 ここまで十分にできたら、足裏(湧泉)を使って清気を引き上げていく。これが第二段階。

会陰も湧泉によってさらに引き上げやすくなる。尾骨も浮き気味(尻尾が上がり気味)になる。

足裏に降ろす時の腹圧が強ければ強いほど反射作用として足裏から上がってくる気の量が強くなる(ウォータークーラと同じ。下のペダルを強く踏めば踏むほど水が勢いよく出る)。

 

これを日々続けて、上の肋骨から肩、そして首、最終的には足裏から頭のてっぺんまでが一つの気の球となると、マスタークラスのレベルになる。

 

 冒頭に書いた、手と股関節をつなぐ、というのは、股関節から肩が一つの気の球でつながるレベル。そのためには腹から腹底、足裏に向かう腹圧が相当必要(再度、ウォータークーラの原理…?)

 

 今日の練習では皆とどのくらい腹が膨らんでいるか触り合いして遊んでいたが、私はこの夏痩せてしまったにも拘わらず、腹と腰回りの膨らみだけはすごくて、ベテランの男性生徒さんも、腹を私のように膨らませると腰が膨らまなくなる、どうしたものか、と横でああでもない、こうでもない、とやっていた。あるところまでいくと、木の幹と同じような胴体になるので腹と腰ではなくて胴体ぐるっと一周一斉に膨らんで、ドーンとした感じになるのが分かるようになった。

 こうなると最早、脚は胴体だ、とも言えるし、胴体は脚なんだ、とも言える。(私はまだそこまでできていないけれども)腕も然り。

 最終的には、四肢も含めて全部胴体(四肢も胴体)と言えるだろうし、逆に、胴体が四肢化してしまって胴体は四肢、とも言えるかもしれない。

どこから脚、どこから腕か、というのは結局自分の感覚。短くするのも長くするのも自由自在・・・。

 

 以下、四肢もが胴体になってしまったマスター級の老師の推手。

 

 これらの老師の推手は私達が練習でやるおきまり推手と随分違う。

 が、私達が練習している推手がいずれは下の動画のような実戦と結びつくことを知らないと、なぜ気を溜める必要があるのか、何故全身を胴体化しなければならないのか、なぜタントウ功が必要なのか、套路で何を学んでいるのか、が分かって来ない。

 

 一見技一つ一つがバラバラに見えても、要領は内側で一つになっている。

 股関節や肩関節が胴体の中にあることが分かると、老師達が一見脚を使っていないように見える動きでも内側でしっかり陰陽転換をしているのが見えるようになる。脚がやたら動かしても体重移動にはならない(弟子達はだいたいそうなっている)のが理解できてくる。

 体重移動とは腰の移動、股関節肩関節の移動、即ち胴体の陰陽転換運動であり、足裏移動では決してないということ。

 理屈は分からなくても、ぱっと見てどっしり感、真っ直ぐ感で誰が強いか分かる。自分で練習していくともっと見えるようになりもっと面白くなる。

 

 

2018/9/3

今朝の掲示板 
 
カメすくいなんてあるのを知らなかった私は、このイラストに描きこまれた皮肉が分からなかった。説明を聞いて、なるほど....(月曜から金曜、5回で1話完結になるはず)
同じものを見ても何を感じ、どんなメッセージが読み取れるかは受け手の経験、知識、感受性等によって大きく変わる。
太極拳で腕を回して一つ円を描く、そこにどれだけの意味....技、要領、身体の構造、力の伝達系統....を感じられるか、と似たようなところがあるなぁ、と思いました。
一つ円を描くことの畏れ多さ。
....そう言えば身体が動く、呼吸をする、だけでもはや神秘でした。
掲示板は私の悪友のもの。ただのヨッシースタンプファンだと思ってたら、こんなのをさらっと毎朝描いている。
センスが独特で毎回小さな驚きがある。
せっかくなのでここで共有させて頂きます。

動画適宜アップ中! 

YouTubeチャンネル『スタディタイチ』→こちら

『今日のメモ』毎日の練習は気づきの宝庫。太極拳の練習の成果が何に及ぶかは予測不可能。2012年9月〜のアーカイブは『練習メモアーカイブ』へ

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練習のバイブル本

 『陳式太極拳入門』

   馮志強老師著

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2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

発表の抄録、資料はこちら