2019/2/18 <タントウ功 ちょっとしたコツとタイムラプス動画>
先日ビデオレッスンを受けた男性からタントウ功について質問がありました。
今日はいい天気で近くの広場に練習に行ったついでに動画を撮ってみました。
説明はしゃべるよりも文章の方が得意かも?
が、動作、形は見せた方が分かりやすい。
一応動画を貼り付けます。
文章での説明はまた後程。
最後に付け足しで、”丹田で動く”のと”脚で動く”のとの違いを見せるような動画も撮ってみた。
カメラが下から見上げているので多少足長(苦笑)
2019/2/17 <お知らせ>
2019/2/12
足=feet の”松”!
目から鱗でしばらく悦に入っていた。
ああ、これまでなんとfeetに酷いことをしてきたのか?
あの中学、高校の卓球時代。ただただ無我夢中にボールを追いかけていた。
もともと運動神経は良いし特に脚が強かったのであっというまに上達した。が、大学に入ってほどなく親指が変形しているのに気づいた。
大学時代、バタフライの道場で練習をしていたら、元世界チャンピオンの伊藤繁雄さんが私をちらっと見て、一言、「お前は太ももで打ってるなぁ~」と言って笑いながら隣を通り過ぎて行った。どういう意味?と思いながらそのままになり、そのシーンが蘇ってきたのは太極拳を本格的にやり始めてから。ああ、あの時伊藤さんは、私は腰ではなく脚で打っている、腰(胴体)で打たなきゃだめだよ、と言いたかったんだ・・・・もうあれから20年も経っていた。
日本では臍下丹田が一般的で、中丹田(中気、胃の気のあたり)や腰(日本語の腰ではなくて、腰椎1番から5番の位置。感覚的には胃の高さ。日本語なら背中の感覚)の概念が希薄だ。だからどうしても胴体の力が弱く脚力に頼りがち。脚は太く短くなり、足は押さえつけられて幅広になる。
それには日本語の発音からくる舌の位置の問題も絡んでいるような気がするが(これは呼吸の時に大問題になる)、頭蓋骨は肩の上に乗らずに前に落ち、肩の位置もずれて腕が肩から外れてしまっているから、どうしても腕や脚に負担がかかる。
子供は大人の真似をして育つから、日本人の中で育つとどうしてもそのような姿勢、身体の使い方になる。フランスから日本に戻ってきた後、当時小学6年生の娘の姿勢があっという間に猫背に変わった。バレエも習ってきてとてもきれいに立てていたのに何故だろう?と理由を聞いたら、皆んなこうしてるし、真っ直ぐ立っていると生意気に思われる、と答えた。正しくなくても多数派に合わせなくてはならない....子供の世界ではそれが残酷なほどに顕著だ。
大人になれば一目を気にして姿勢を悪くすることは考えられないが、もう既に狂ってしまった姿勢を元に戻すには地道な努力が必要になる。身体の躾けは要領ではどうにもならない。しぶとく毎日躾けづけるしかない。
・・・と、私もそんな中で運動をしてきて、結局足(feet)を傷めてしまった。最近の卓球の選手は皆中国のコーチについているから、身体の使い方も随分昔とは違う。
私は中学3年生の時(1982年)卓球交流で北京にいったが、その時向こうのコーチが教えてくれた、右足を踏み出して右で打つ、というなんば歩き的な打ち方は、当時の日本ではふつうやってはいけないという打ち方だった。右手で打つなら左足が前、そして身体を回転させる、それを順守させるようなところがあった。が、中国選手や欧米の選手はもっと自由な打ち方をする。一見変な恰好でも打ってしまう。それが腰の軟らかさ、胴体(丹田)で打つことだ、と分かったのは太極拳のおかげ。最近の大阪なおみ選手の打ち方をみると動物的で躍動感があり、四肢に頼らない胴体運動の威力を感じる。(その点錦織君は体格のせいもあるが四肢に負担がいきがち・・・丹田が倍あれば・・・)
feetを傷めない、という観点から練習すると、本来身体の中心がどこにあるのかを再認識することができる。
足を傷めない、足を押し付けないで太極拳をやるとどうなるのだろう・・・とゆ~くり注意深く試したら、ああ、これは私の師父の拳、そして馮志強老師のような拳に近づいている。本来重心移動はこうやってやるのだ(=全身でやる、腰でやる、脚ではやらない)・・・と感動するのだけど、難しくてそうは簡単にできない。このままやるには全身が丹田にならなきゃだめだなぁ、とそこまで分かったところでギブアップ。まだ丹田が足りない、あるいは、全身がまだ一つになっていない・・・丹田が身体を包む大きさになって全身が一つの球のようになった時には足は軽く、けれどもしっかり根付いて立ったり動けたりするのだろう。
足が軽くすぐにでも走り出したり跳べたりするには、しっかり地面に根付かなくてはならない。
足が軽くなるにはまず重くならなければならなくて、重くて軽い足(脚)ができたとき、重いと軽いが矛盾しないことに驚いたりする。このあたりはとても太極拳っぽくてまたまた感動的。
相矛盾するようなものが矛盾ではなく補完しあう、というのはよく言われることだが(男女の例がよく用いられるかなぁ)、実際に自分で重くて軽い感覚が分かると、本当にその通りだとびっくりしてしまう。練習が進めばそんなことだらけなのだろう。
<補足>
足を傷めない、足を押し付けない、という意味について
以前ある足の治療家が、私達の足幅は本来Dサイズだと言っていた。足を持ち上げて垂れたfeetは確かに足幅が狭い。そして、その足を一度地面に置き、そしてその上に乗って立った瞬間、足がぎゅ~と押し潰されてしまったとしたらその立ち方は間違えている、歩く度に足feetが押しつぶされずDサイズを保ったままでいられるのが理想だということだった。
実際に裸足になって、重心移動をしている時の自分の足feetをじっと観察すれば、どの時点で足に力が加わって足が押し広げられていくのかが分かる。足feetに負担がないようにするには、全身の体重がダイレクトに足裏に伝わらなければならない(足の甲が固まらない)が、それをするには会陰の引き上げと丹田の形成が必須になる。歳をとると足幅が広くなり足裏や踵が痛くなったりする人が多くなるのも納得できる。会陰の引き上げができない(=丹田が形成されない)と膝や足に負担がでる。(注:会陰を引き上げる代わりに胸や肩で身体を吊り上げている場合は膝や足の異常は免れても、代わりに肩こりや呼吸の浅さ、緊張が取れない、自律神経の異常、など、別の疾患が生ずるだろう。)
2019/2/2
足首以下、英語でいうところの”feet"は、身体を支える土台だけれども、あまりにも”下”にあって目が届かない=意識がとどかないし、ともすると汚いもののように扱われて、知らず知らずのうちに酷い使い方をしてしまいがち。気が付いたら外反母趾になっていた・・・と気づいたのは大学1年生の時。卓球をしていてなんだか親指に力が入らない、と思った時には症状が随分進行していた。おそらく中高時代に一生懸命練習している間に徐々に変形していたのだろう。試合で勝つ、というのを目標にして運動するとありがちなケース。
外反母趾をどうにかしたい、というのは太極拳を始めた当初から思っていたが、丹田から初めて実際にfeetまで意識が届くまでには相当な時間がかかった。が、一度分かりだすと、feetの重要さがますます感じられるようになってくる。feetになんら変形のない生徒さんを羨ましいと思う一方で、せっかく変形していないのに全くfeetを使い切っていないのはなんてもったいないのだろう、と思ったりもする。
feetが最大限に開発され使えているとすれば、もうそれは達人。
本当は丹田が全身まで広がるからfeetが最大限に使えるのだろうけれども、逆にfeetをメルクマールに丹田を作っていけば間違えた丹田形成、身体の開発にはならないだろう。
で、右は数日前、思い切って買ってみた大山式の指パット。
薬指が使える使えないは太極拳にとってもピアノを弾くにとっても死活的問題。胆経、身体の側面、ここが使えないと身体を全体的には使えない。これを装着すればはっきりと手ごたえがあるかもしれない・・・
と、装着してみたら、なるほど、と納得。
なんで師父が私にfeetの扣(コウ、お椀を被せたようにすること)をさせたのか、なぜ抓(掴む)ではいけないのか、そして、踵に乗るのかつま先を使うのか、重心はどこにあるべきなのか、なぜ整体のプロの私の弟子が私の脛を内旋させるように矯正したのか・・・様々なここ数か月の疑問が解けた。
がこのパットを外してその位置に立とう、その位置で歩こうとすると、あ~、丹田が足りない!
丹田が頭まで包まないとそうはならない・・・feetが腰につながるのは当たり前として、背中やら肩、首、頭部まで、前も後ろもfeetとつないでいなければならない。凄く注意してパットをつけた感覚を維持したまま24式をやろうとしてみたら、なんと、feetは完全に”松”! feetに力が入ってはいけない、そういうこと?! が、そのためには腰や腹のみならず、体中に空気をはらませておかなければならない。まさに一個の気球状態。が、これだと関節に当たらない、もっと言えば関節がないかのように動ける。確かに馮志強老師はこんな感じの動き方だ・・・。
足指、指先先端からまで使いながら同時に踵の端、アキレス腱まで伸ばして使えればfeetの中に全身が入ってしまう。ただそれが可能なのは全身が気球になった時。筋肉に当たってしまうとそこで途切れてしまう。
幼児は簡単にそうやって立って歩いているのに、大人になると、どんなに”正しく”歩いても、どこか硬くぎこちなく不全に見えてしまうのは、どうしても筋肉にのってしまうからだろう。
いろいろ説明し出すとこれまた本一冊書けそう。上の写真で分かるポイントだけ列挙。
➀指→踵→アキレス腱→膝裏→お尻→腰→( → → 後頭部)
幼児は後頭部までつながってしまっているけれど、私達はとりあえず腰までつなぐ!
②つま先は丹田に合う 逆にいえば、丹田がないとつま先(指の本当の先端)は使えない
③このように立つ、歩くと、腹がしっかりしながら(一枚目)腰がしっかりする(二枚目)。
④虚領頂勁は自然にできてしまっている。
次の写真も私の宝物。オランダの女の子。上の男の子よりも小さい(2歳半~3歳くらい?)
幼児たちは自然体で何も考えずに上手に歩けるが、私達は一度失った自然体を取り戻すためにかなり努力をしなければならない。
力を抜く、筋肉に頼らない、呼吸を健やかに楽しく・・・このあたりから自然体を始める(タントウ功の第一歩)。すると上の女の子の三枚目のような”ぽんぽこ丹田”が現れる(笑)
下は歩き方講座の先生達。太極拳の目で見てしまうと、どれも腰が弱い。後ろから腰を蹴ったら一発で終わり(特に左の女性二人)。右の男性は肩甲骨のあたりを後ろから推せば倒れるなぁ。
幼児たちは力はないけれど、スキのない立ち方、歩き方、をしている。それが太極。